<Header>
<Author: 常建>
<Title: 西山>
<Format: 格式不明>
<Year: 1964>
<BookName: 唐詩選　上>
<Translator: 斎藤晌>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 西山>
<BookPage: 37>
<UsedPage: 1>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
一身爲輕舟，
落日西山際。
常隨去帆影，
遠接長天勢。
物象歸餘清，
林巒分夕麗。
亭亭碧流暗，
日入孤霞繼。
渚日遠陰映，
湖雲尚明霽。
林昏楚色來，
岸遠荆門閉。
至夜轉清逈，
蕭蕭北風厲。
沙邊鴈鷺泊，
宿處蒹葭蔽。
圓月逗前浦，
孤琴又搖曳。
泠然夜遂深，
白露霑人袂。
<End Poem>
<Translation>
一身が小舟になりきって水面を走ってゆく。落日が西の山の端にかかっている。ずっと、過ぎ去ってゆく帆影のあとを追っているのだ。そして遠い天のはてを目ざして進んでゆく。目にうつる物の象が一様になって、すがすがしさのなかにとけてゆき、林も峯も美しい夕の光につつまれている。はるばるとつづく漢江のあおい流れも、だんだん暗くなってきた。 日が入って、そのあとに一片の夕燒け雲がパッと輝いている。 
あたりに遠くつづいて、ちらばる中洲や渚は、あるいは暗く、あるいは明るく、夕映のなかに明減する。湖水の空とおぼしきあたりの雲は、まだ明るくクッキリと浮かんでいる。自分がだんだん下流へ移ってゆくと同時に、林が黒ずんできて、南方の楚の國らしい氣配が濃くなってくる。そして、もとの岸邊が遠ざかってゆくにつれて、荊門山の門の形をした山がとじたように闇につつまれてしまった。 
さて、夜になると、空氣はいよいよ澄んで、どこまでもすがすがしく、北風がびゅうびゅうと、きびしく吹きだした。近くの砂地では雁や鷺がねぐらについている。ここらで、今晩の宿りときめて、小舟を岸につなぐ。ここは、あしの葉がおおいかぶさるように茂って、まことに恰好の場所だ。まんまるい月が目の前の入江に顔を出した。じっと、そこに休んでいるように見える。そこで琴をとり出して、ひとり彈じていると、餘音が長くひびいて、ゆれ働き、かぎりないおもむきがある。ひいやりとして夜もだいぶ更けたようだ。ふと氣がついて見ると、自露でわたしの袂ば、じっとりぬれていた。
<End Translation>
<Formatted Translation>
一身が小舟になりきって水面を走ってゆく。
落日が西の山の端にかかっている。
ずっと、過ぎ去ってゆく帆影のあとを追っているのだ。
そして遠い天のはてを目ざして進んでゆく。
目にうつる物の象が一様になって、すがすがしさのなかにとけてゆき、
林も峯も美しい夕の光につつまれている。
はるばるとつづく漢江のあおい流れも、だんだん暗くなってきた。 
日が入って、そのあとに一片の夕燒け雲がパッと輝いている。 
あたりに遠くつづいて、ちらばる中洲や渚は、あるいは暗く、あるいは明るく、夕映のなかに明減する。
湖水の空とおぼしきあたりの雲は、まだ明るくクッキリと浮かんでいる。
自分がだんだん下流へ移ってゆくと同時に、林が黒ずんできて、南方の楚の國らしい氣配が濃くなってくる。
そして、もとの岸邊が遠ざかってゆくにつれて、荊門山の門の形をした山がとじたように闇につつまれてしまった。 
さて、夜になると、空氣はいよいよ澄んで、どこまでもすがすがしく、
北風がびゅうびゅうと、きびしく吹きだした。
近くの砂地では雁や鷺がねぐらについている。
ここらで、今晩の宿りときめて、小舟を岸につなぐ。
ここは、あしの葉がおおいかぶさるように茂って、まことに恰好の場所だ。
まんまるい月が目の前の入江に顔を出した。
じっと、そこに休んでいるように見える。そこで琴をとり出して、ひとり彈じていると、餘音が長くひびいて、ゆれ働き、かぎりないおもむきがある。
ひいやりとして夜もだいぶ更けたようだ。
ふと氣がついて見ると、自露でわたしの袂ば、じっとりぬれていた。
<End Formatted Translation>